兼田喜夫の「選挙十則」

兼田喜夫という人がいた。
自由民主党の事務職員であり、のちに選挙部部長を務めた。
彼は戦中、田中角栄の上官であった。
そのため、人は彼を「中隊長」と呼んだ。

佐藤内閣以降の自民党の選挙は、彼が取り仕切った。
選挙の神様とよばれた田中角栄自身は、兼田こそを「選挙の神様」と呼んでいたそうだ。

その「選挙の神様」が自民党職員に残した「選挙十則」というノウハウリストがある。

驚くほど今日的であり、また、「なぜ野党は自民党に勝てないのか」のヒントが詰まっている。

以下、引用する。


選挙十則

  1. 選挙は戦い、戦いは作戦。作戦の基本は、候補者のイメージアップ。そして相手候補のイメージ・ダウン)、事前活動・緒戦・中盤・終盤を通じ綿密周到な計画と陣営の訓練が肝要。投票の〆切の六時まで全力を尽せ

  2. 有権者の半数以上が婦人、婦人こそ人気つくりのメーカー。婦人は思いつめたら一生懸命、婦人を味方にしよう

  3. 有権者の構成は、今や昭和生れが73%、大正生れが17%、明治生れが10%。近代的感覚、カッコいい選挙にも留意し、陣営の鮮度保持に努力しよう

  4. 拠点づくりを急ぎ、点を線で結ぼう。点はまず身近な者、親類縁者、同級生、学校の同窓関係から、それを線に継ぎ拡大を図ることが肝要。支持者カードと政治地図を作成しよう

  5. 行事は早めに企画し、大きな集会と併せ、部落、学区ごと等、キメこまやかな座談会も企画し、末端に強く浸透する努力が必要

  6. 食わずぎらいはいけない。反対派の支持者とみても、あたってみよう。先手を打って頼んでみる努力が以外に功を奏す。全国区選挙等では特に!

  7. 頼みっ放しは駄目。人をかえ、点検を綿密に行うことが絶対肝要

  8. 接触度の高い活動家や人望のある人を陣営に組み入れ、口コミ作戦を重視、展開しよう

  9. 得票は一票一票、足でかせぐこと。一票一票が積って山をなし、当選となる。千里の道も一歩から!

  10. 人気だけでは決して勝てない。人気よければ陣営が弛み、対立候補に乗ぜられる。最後まで危機意識に燃え、強固な団結と強固な必勝の信念を持って頑張ろう


「昭和生まれが73%大正生まれが17%明治生まれが10%」など時代背景がありありとわかる文言が印象的だ。
ただ、この「世代構成の解説」箇所での書きぶりが、いかに定量的な手法こそが選挙にとって重要であるかを、示していると思う。

こういう泥臭いながらもドライで定量的で情緒の入り込む隙など一切ない考え方で育った代議士が、自民党にはまだまだたくさんいる。

我々はこういう人たちと戦っている。

「 人気だけでは決して勝てない」!!

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