月刊HANADAに反論するのは、東京スポーツに反論するほどに無粋なこと

消防署詐欺 という詐欺の手口をご存知でしょうか?

突然男が家にやってきて「消防署の方から来ました」と言い、「家族の安全を守るため、一家に一台、最新式の消火器を!」とかなんとかいって、消火器を売りつけていく手口。この詐欺の巧妙なところは、何一つ嘘を言っていないところです。「家族の安全を守るため、一家に一台、最新式の消火器を!」という売り口上は正論といえば正論ですし、「消防署の方から来ました」というのも厳密には嘘じゃない。消防署の近所から来てるんだったら「消防署の方から来ました」は嘘でもなんでもないわけですしね。

昭和の昔からある手口なので、一度ならず同じような話を聞いた人も多いでしょう。古典的な詐欺なんですが、実際には今だに騙される人がいて、高額な消火器を買わされる目にあっているそうです。被害の発生について聞く及ぶたび「そんな手口で騙されるなよなぁ」なんて内心では思ってました。「俺は絶対こんなのにひっかからない」とさえ強がってました。

でもね。先日、これと似た体験をしたのです。

お盆休みの某日。久しぶりの休みを満喫しようと家でゴロゴロしてたのですが、夏休みのこととて家に子供がいる。父親が日中ゴロゴロしてるのも教育上悪いなとおもい、散歩に出かけました。すると、家を出た途端、お留守番をしていた息子(小学六年生)から、「月刊なんとかとかいう人が来てマンションの入り口でパパを待っている。喋り方も顔つきも怖い。すぐ帰ってきてくれ」(原文ママ)と、僕の携帯に電話が入ったのです。息子が怖がってるのなら仕方なしと、飛んで帰ったところ、確かに男性が一人、拙宅マンションの共用玄関前に立っていました。

用件を聞くと、「月刊hanadaから来たが、先月号掲載の籠池氏長男の発言について、反論はないか?」がご用件とのこと。名刺を2枚ももらったんですが、そのどちらにも三品と名乗るこの人物が、月刊hanadaと関係があるかどうかを示す情報はありません。事前の取材申し込みもない上に、名刺にも何の情報もない。

本来であれば、こんなもの相手にする方がどうかしてるのですが、なにぶん当日は酷暑。汗を拭きふき屋外で僕の帰りを待ってくれてたことに申し訳なさを感じ、優しさから対応することにしました。

しかしこれが間違いでしたな。

そもそも、あの花田氏が、あの天下の名編集者が主宰する月刊誌が、「本人への当て取材もせずに、なんらかの情報を掲出したのちに、それに対する反論を求めてくる」なんていう、子供みたいなことをするはずがない。 雑誌の取材ですから、アポなしで相手の家にいくこともあるでしょうが、その時、いくら出入りのライターとはいえ、嘱託記者なり何なりの肩書きで、雑誌ロゴの入った名刺の一枚ぐらい持たせます。冷静に考えれば、「ありえない光景」が目の前に展開しているわけです。しかしそれに当日の僕は気づけなかった。優しさは人の目を曇らせます。その結果、ついつい「月刊hanada の取材である」と信じてしまい、

「月刊hanadaに反論することは、月刊ムーに反論するほどに、無粋なこと」

というコメントを出してしまったのです。

迂闊でしたな。それになにより、このコメントは、月刊ムーと版元の株式会社学研プラスに失礼です。

なんとかして、このコメントを訂正したい。と思ったのですが、もう後の祭り。だってこの三品氏なる人物が、本当に月刊hanadaから来た人なのか確認のしようがないのですもの。

そこで、月刊hanada編集部にファックスを入れておくことにしました。考えられないことですし素人同然の大失態なのでまさか月刊hanadaがそんなことすることはないとおもいますが、万が一、あの取材が、本当に月刊hanadaの取材だった場合、上記コメントがそのまま掲出されるのは、「あんな取材を取材と呼んでいる雑誌である」との烙印を押されることとなり、月刊hanada の汚辱にもなる。それを防ぎたい一心で、ファックスをしたという次第です。

そのファックスのPDFファイルを下記に掲出します。

またテキスト版も下に貼り付けておきます。

まさかあんな子供じみた取材を月刊hanadaがするはずもないので、僕の杞憂におわるとおもうのですが、念には念を入れないとね。

なお、変更後のコメントは、ファックス本文にもあるように、

「月刊HANADAに反論するのは、東京スポーツに反論するほどに無粋なこと」

です。

東スポにも失礼ですが、すくなくとも東スポは、粋なので、当方の趣旨を汲んでくれるものと思います。

それよりhanadaが心配です。もしあれがほんとに「hanadaの取材」なら、もう高校生バイトとかにてきとーにググらせて、5chのログとか貼り付けとけばいいんじゃないですかね?

hanadaへのファックス

 

 

 

以下、テキスト。

 

 

 

平成30年8月20日

月刊HANADA編集部御中

東京都港区南麻布4−12−9
著述家 菅野完

貴誌取材と称する取材活動に対する当方コメントの差し替えについて

拝啓

時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

さて、過日、三品純と名乗る人物が、事前連絡なく拙宅に来訪し、貴誌先月号掲載の記事に対する反論コメントなどを求めてこられました。同氏は貴誌の取材活動であると主張しましたが、同氏からは頂戴した2種の名刺にはどちらにも貴誌の記者であることを示す情報がありません。また、インタビューが進むにつれ、取材前の下調べがWikipediaをはじめとするネットの情報に依拠したものに過ぎないことも次第に判明し、取材そのもののレベルも「この人物が本当にHANADAのライターなのか?」という疑問を強く抱かざるを得ない品質のものでした。事前の取材依頼も所属を示す情報の開示もなく、取材活動の内容も上記の通り商業誌レベルとは思えぬものであり、当方は今に至っても、当該人物が本当に貴誌の取材活動に従事しているのか確認できずにおります。

さらには、雑誌編集の世界で功成り名遂げた花田紀凱氏が主宰する『月刊HANADA』が、「本人に直当て取材することなく一方的な記事を掲出した後にその本人に反論コメントを求める」などという、小学生新聞でさえやらないような段取りが悪く脇の甘い仕事をするとは考え難く、取材当日も、本件取材活動が本当に貴誌のものであるのか最終的な判断がつきかねるまま取材をうけることとなった次第です。

 

そこで、微に入り細に入る返答は控え、

 

「月刊HANADAに反論するのは、月刊ムーに反論するほどに無粋なこと」

 

というコメントを出し、三品氏には帰っていただきました。

しかし、熟慮するに、このコメントは『月刊ムー』および株式会社学研プラスに対し極めて失礼であると判断し、下記の通りコメントを差し替えます。

 

「月刊HANADAに反論するのは、東京スポーツに反論するほどに無粋なこと」

 

以上のとおり、当方のコメントを差し替えますので、なかなか考え難いことではありますが、もし万が一、三品氏が本当に貴誌の依頼でご取材されておられるというのであれば、記事執筆や編集の際、ご参考いただければ幸いです。

 

末筆ながら、総合娯楽誌「月刊HANADA」および編集部ご一統様の今後益々のご健勝を祈念します。

敬具

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