#森へゆく径 獅子身中の虫。

昨日、「明日から一冊ずつ本を買って、買った理由とか書いていく」と宣言したにもかかわらず、初日からコケてしまった。息子が扁桃腺はらして寝込んでしまったのだ。看病でしかたなく一日中家にいた。

小学校三年生になって幼児から少年になりつつある息子は、最近、僕と遊ぶことに恥じらいにも似た感情を抱いているようだ。でも、今日は熱があることもあって、素直に甘えてくれた。久しぶり彼を長時間、抱っこした。テレビは当然として、ラジオも音楽もかけず、彼を抱っこしながら、布団の中でいろんな話をした。

話がつきたころ、彼は、本を読みたいといった。それも「パパの本が読みたい」という。背が届かないから取ってくれろという。彼が指定した本は、僕が旅行のときに必ずもっていく晶子と鉄幹と吉井勇の作品がひとつになった、河出の「日本詩歌全集」の中の一冊だ。僕の本棚にある「日本詩歌全集」の中でこの一冊だけがボロボロになっていて、常日頃怪訝におもっていたらしい。。

読み始めたものの、小学三年生に晶子や勇が読めるはずがない。読んでくれというので、「銀色の小き鳥の形して銀杏散るなり夕日の丘に」とか、子供でもわかるようなのを選んで読んでやった。「君死にたまふことなかれ」を読んでやった後、日露戦争の話や旅順口攻略戦の話もした。もっと読めもっと読めとせがむので、「かくて果つる我が世さびしとなくは誰ぞ 桔梗咲く伽藍のうちに」とか「くれなゐの蒲団かさねし山駕籠に母とあい乗る朝ざくら路」とか、歌の景色のわかりやすいのを選らんで読んでやった。でもふっと真顔になって「なんでパパはこれを新幹線の中で読んでる時、泣いたりするの?新幹線の中でこないだ泣いてたじゃん。行きも帰りも」と聞いてきた。先だって息子を連れて帰省したとき、僕が晶子を読みながら泣いていたことを見てたみたいだ。寝てたと思ったのに!

「それはだなぁ。。。」と本当のことを答えようと思った。でも、本当の答えは罪作りになる。だから「お前もあと5年ぐらいしたらそうなるよ」と答えた。大人として一番やっちゃいけない返答だけど、知らなくていいことは知らない方が幸せってものだろう。

どうやら、はぐらかされたと感づいたらしい。「教えてくれないんだー。じゃあ、明日、本屋つれてってよ。なんか一冊選んでよ。」という。どんな本欲しいのかを聞いたら、「わかんない。でも、いまので晶子好きになった。だからパパ選んで。パパのセンス、信用する。」と生意気なことを言いやがる。

明日は息子と一緒に本屋にいこう。

しかし本当に生意気な奴だ。
森へゆく径編集部より怖い強敵は、どうやら身内にいたらしい。

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