サヨクって本当にダメだなぁと思った件。

日本会議の発表するところによると、彼らがこれまで集めた「改憲署名」は700万筆にのぼると言う(5月3日現在)。彼らの改憲運動用フロント団体 「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の通称が「1000万人ネットワーク」であることからわかるように、署名活動の目標は1000万筆の獲得だ。
 
SNSを見渡すと、この数字を受け、9条の会周囲の人々が「だからこそ我々の2000万筆目標護憲署名が重要だ!」と息巻いておられる。
 
僕はここが「日本会議の凄さ・左翼のダメさ」だと思う。
  
日本会議はあの署名を、国会なり何なりに請願するためだけに集めているのではない。
 
彼らの1000万筆獲得という目標は達成されるだろう(しかしこれまでの彼らの運動での獲得ペースからいうと極めて低調であることは付言しておくが)。そして、そうして獲得した署名用紙を、武道館に山積みにした演壇をつくり、今秋には決起集会をやりもするだろう。そしてその様子をいよいよ日本会議に注目し出したメディアは驚きをもって伝えるだろう。その決起集会で気勢を上げ、そのまま国会に請願するだろう
 
しかし彼らの目的。。。というか彼らにとっての「署名の用途」はそこで止まらない。
 
彼らはその次を見越している。
 
彼らはあの署名用紙をそのまま「名簿」として利用する。何も組織勧誘や集金のために使うわけではない。国会で改憲が発議された後、いよいよ国民投票となった場合の「投票呼びかけ」名簿にするのだ。あの署名用紙で集めた個人名や電話番号のデータはそのまま「改憲の国民投票で賛成投票に回る蓋然性が高い人たちのリスト」になる。その人々に向けて、投票を呼びかけ、票固めする。
 
なんたる真面目さ! なんたる周到さ!!!
 
もうね、見事というほかない。ある意味、市民運動のお手本と言ってもいい。
 
そしてこれは、そうした作業を遂行するだけの事務処理能力を日本会議が有していることも示している。
 
翻って。。。。
 
「だから2000万筆署名が重要」と息巻く9条の会の周りはどうか? 2000万筆という獲得目標について、日本会議のように、適宜中間報告をし、定量的にその経過を明示し、運動員の奮起を促すことをやっているか? 関連諸団体と事務局責任者がいわゆる「ボス交」を繰り返し、組織目標を設定し、組織の中で、ギリギリと締め上げて数字を獲得しているか? はたまた、国会請願後に署名を名簿として活用するために、適宜署名をデジタル化しているか?あるいは、国会発議が今夏の参院選の後行われた場合、早ければ来春には予定される国民投票に向け、電話かけ要員の確保や、電話回線の用意は出来ているか?予算は獲得したか?備品の整理は出来ているか。。。。?
 
こうした、「社会人としてのスキル」こそが問題なのだ。
 
残念ながら2016年にもなって、澤地久枝や落合恵子や大江健三郎などの老人たちをスターとして崇め、集会開いて歌うたって終わってるだけの人々からそうした社会人としてのスキルは感じられない。
 
先日の「クローズアップ現代」で少し映った「護憲署名を集める団体の事務所」はそこいらにダンボールが散乱し、街宣で使うであろうのぼりがそのまま立てかけられており、ホワイトボードは斜めに成っていた。肝心の署名用紙は、フロアーにそのまま裸積みされる始末。あの一シーンからは、「だらしなさ」を強烈に感じた。どうも「社会人としてのスキル」を感じられないのだ。「護憲署名に戦死者戦没者の名前を書く人が多い」などという美談で涙する前に、やることがあろう。
 
日本会議と比べたら大人と子供の喧嘩だ。勝てるはずがない。
 
日本会議が強いわけでも巨大なわけでもない。他が情けないだけなのだ。
 
勝負はもうついているようにさえ見える。

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