いとしこいし的カップ焼きそばの作り方

「カップ焼きそばってありますやろ?」
「あれがどないしたんや」
「私、あれ作るの苦手ですねん」
「何が難しいねん。あんなもん、湯沸かしたらしまいやないか」
「え?あんたあれに湯かけまんのん?」
「そやがな。湯かけんと、どないすんねん」
「え?あんなもんに湯かけたら外装が全部お湯を弾きまんがな、あたり一面、お湯だらけになって」
「あのなぁ 外装をまずめくるんや。ほんで蓋とるの」
「ああなるほど、ほんでどないしまんのん?」
「中にかやくあるやろ、それを取り出すの」
「物騒な。そんなもん入ってますのか?」
「お前それ、火薬と間違うとるんちゃうか?」
「フタ開けたら爆発するんちゃいますか?」
「アホなことをいいな。ふりかけみたいなもんや」
「ああ、明日の弁当に持って行ったらええんですな」
「違う!焼きそばに使うんや!まあとりあえず、かやくを取り出して、脇へ置いておく」
「ちょっとお尋ねしますねんけどね」
「なんやねん」
「その脇ちゅーのんは、右脇ですか?左脇ですか?どっちの脇ですか?どの脇…」
「どっちでもええ!とりあえず左側に置いとけ」
「ほんでどないしまんのん?」
「それからようやく、お湯をかけるわけや」
「ちょっとお尋ねしますねんけどね」
「よう尋ねるやつやな。今度はなんやねん」
「そのお湯は、いつ沸きましたん?」
「うるさいやつやなぁ!最初から沸かしといたらええねん」
「ああなるほど。で、お湯をどないしまんのん?」
「お湯を内側の線まで注ぐ」
「そこやがな、そこが難しい」
「何が難しいねん」
「やかん持つ時、右手で持ってええんか左手で持って…」
「どっちゃでもええ!注いだらええねん。で、三分待つ」
「はぁ。三分ねぇ。三分いうたらえらい時間でっせ」
「その間、新聞でも読んでたらええがな」
「何新聞読んだらええんですか?夕刊ですか?朝刊ですか?」
「何でもええわ!三分経ったら、お湯を捨てる」
「あ、これでんな。一番難しいの」
「おお。わかっとるやないか。ここで気を抜いたら、フタから麺が溢れてこぼれる。」
「そうそう。ドバァと溢れてね。流しの上にグチャーとなってね、生ゴミと一緒になって、きちゃない…」
「そうそう」
「グチャーとなってきちゃないで思い出したんやけどね?」
「なんや?」
「君とこの嫁はん元気かいな?」
「もうええわ!」