ブクマにも書いたけど、こっちで補足。
確かに、景況感が冷え込んでいるために広告業界はどこもかしこも痛い目にあってる。白い看板がふえたのも、単純に考えると、「不況の影響で企業が広告予算を減らしているから」とも言えなくない。
でもねぇ。
リーマン的な発想からいうと、これ、予算「額」のせいじゃない。
リーマン諸氏には御共感いただけるとおもうが、もし諸氏が、社内の広報部等にいて、新しい広告の企画を社内で通そうとしたとき、いまどき、「屋外看板だしましょう!」的な企画書書く? おそらく、「WEBにバナーだしましょう」「Yahooのトップページの一区画をN万円で買いましょう」とかいう企画書を書くんじゃね?
そっちのほうが、通り易いし、だいいち、書き易いでしょ。パワポでどんな絵をかけばいいかもすぐに頭に浮かぶ。
以上は、ブクマにも書いた事。以下が補足。
直感と肌感覚の話で恐縮だが、この「パワポで書き易い話」ってのが、どーも、「なんか世の中ぱっとしねぇ」の原因の一つなんじゃないかなぁと、思ってたりする。
話がえらい矮小化してるのは、自覚してんだよ。
でもね、冷静に周りの企画書みてみ。
「パワポで書き易い/パワポで表現し易い」ラインに企画のレベルが小さく纏まってるような気がしねぇ?
発想の内容が、まるで、「考える最中に、『ああ、あのクリップアート使おう』と思いながら考えてました』ってな思惑が見え隠れするアイデアばっかりだったりしないか?
雲のオートシェイプ使って「クラウドがぁ」とか、円柱ならべて、「DBがぁ」とかさ。
パワポのおかげで、どんな馬鹿でも、手先さえうごかしゃ、いっぱしの事が表現できるようになった。
でも、サブスタンスはお留守になっちゃった。
血反吐はく位考えて、考えた結果を、文字だけで文書化するなんて文化はだんだん薄れてきている。だって、そんな事しなくたって、テンプレとか「nつの方法」とか見ながら、手先をうごかしゃ、なんとか、いっちょまえの紙はできあがるんだもん。
で、世の中的にも不況だから、「成功しそうな企画」よりも「失敗しなさそうな企画」の方が通りがよかったりする。
「見栄えだけはいっちょまえだけど、失敗するリスクは取りたくない」っていう発想ばっかりが動き回りつづけると、話はどんどん小さく/薄くなって行くばかりだとおもうんだよな。
その結果が、いまの「なんかぱっとしねー世の中」なんじゃないかなと思ったりする。
なので俺は、この不況を、誠に乱暴ながら、「パワポ不況」と呼んでみることにする。
・・・なんかわけわからんけど、まあそういうことだ。
追記
考えてみると、「クラウドコンピューティング」って言葉は、MSがOfficeにあの雲のオートシェイプを仕込んでたからこそ生まれた言葉じゃねぇの?
あのオートシェイプがなかったら、今頃、「サーバーサイドコンピューティング」とか他の言葉で呼んでたんじゃないのかな。
という意味では、クラウドの生みの親って、googleでもamazonでもなく、MSなんじゃねw
追記2
そーいえば、ちょっと前に、id:jkondo がハイクでこんな事を言っていたことを思い出した。
世の中はパワーポイントで動き始め、エクセルで管理されている。
by jkondo 2009-06-03 08:31:08
とても「はてな」らしい総括というか感想だと思った。
まあ、はてなの場合、業界が業界だし、まだ若い会社だってこともあって、これでもええんだろう。
が、これを、もうちょっと落ち着いてなきゃいけない、製造や小売や金融までも真似しちゃってて、世の中全体で「あちゃー」ってことになっちゃってんじゃないのかね。
おそらく、マクロな話だと「博打にデカく張ろう」っていう元手がないんでしょうな。
それと、ここまで不況が長引き、正社員といえども雇用の心配をしなけいけない情勢が続くと、「無事是好日」っていう思考が働く者の頭を支配しちゃいますからね。
そんななか、「お手軽にそれなりの紙が書ける道具」を与えられてる訳ですから、みんな「それなり」の事を「低リスク」で書いちゃうっていう行動に出るんだと思いますよ。
>CADが出始めた頃は、
>なんか車のデザインがおかしくなってた
まっさきに、アルシオーネを思い出した私は、悪い子ですw
たしかに、一時期、変なデザインの車ばっかりだった時代がありましたな。
Excelで簡単に費用対効果が計算できてしまい。広告への投資自体が減少するという。
Excel不況っていう言い方もできるかも。
>クラウドの生みの親
IBMでFA
パワポ不況…言えてる~!!
あと、職業が「パワポライター」と化してる
企画屋さん多いですよね…。
「あなたの資料は企画書じゃなくて
フォーマットがパワポなだけでしょ」
と言いたくなるようなシーン多数…(毒)。
結局「ツール」に使われてしまっている訳で。。。
手段が目的となってしまう典型例だね。