NHKの変さは、報道内容だけじゃないと思う件

連日、国会前で安保法制への反対抗議活動が続いている。大規模なものだと数万人規模になるのだそうな。

で、もちろん、「人の嫌がることをすることがかっこいいこと」と勘違いしているバカは世の中にたくさんいるので、「だったら安保法制への賛成活動っつーのをしてやろうじゃないの!」というバカが、一昨日、官邸前で「安保法制への賛成街宣活動」を行った。主催は「人の嫌がることをするのがかっこいいこと」と勘違いしているバカの筆頭である水島総・チャンネル桜代表が率いる「頑張れ日本」。 参加者は1500人。

まあ、「頑張れ日本」みたいな腐れ外道への論評はさておき、なんといっても本件でいま話題になっているのは、「NHKが数万人規模の国会前「安保法制反対デモ」を報道せず1500人規模の「安保法制賛成デモ」を報道した」ということだ。(報道はこちら http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150724/k10010165341000.html

この判断を下したNHKの真意がどこにあるのかはわからない。ひょっとしたら、「安保法制反対は当然の話なんで、『犬が人を噛んだ』ぐらいの話。しかし安保法制賛成は、バカしか唱えないので『人が犬を噛んだ』レベルの話。希少性に鑑みニュースバリューがあると判断し取り上げた」というのかもしれない。

しかしまあ、そんな好意的に解釈してやる義理もないので端的に出てきた事実だけを見て「NHKは、安保法制賛成の民意はニュース価値があると認識している」と判断するしかないだろう。つまり是非や真意がどうであれ、出た結果は、「賛成論への加担」であり「政権側への意図」であることは変わらない。

しかしまあNHKが政権に加担することは、いまさら嘆息に値しない。NHKは昔からこんな感じだ。長いものに巻かれてこそ「皆様のNHK」という態度を長年貫いている。

そんなことより少し気になったことがある

上述のように、NHKが今回報道した「安保法制賛成の街頭活動」の主催は「頑張れ日本」だ。この団体はここ数年、毎週のように、「売国NHK糾弾」を掲げて渋谷のNHK本部に抗議活動をかけている

これは、その様子

これはハチ公前でNHK糾弾演説を行う水島代表の姿

つまり、今回NHKは「ここ数年にわたってほぼ毎週、自社を糾弾している団体の活動をあえて報道した」ということになるわけだ。

なんか変だと思わないか?

繰り返すようだが、頑張れ日本はほぼ毎週、NHKへの抗議活動をおこなっている。で、こういう連中の企業対象街宣を見たことがある人ならご存知のように、こいつらは、出勤する職員や退勤する職員が前を通りかかると罵声を浴びせる。

そういう活動が数年間蓄積されてるわけで、「渋谷のNHK本部に勤めるNHK職員なら頑張れ日本という団体を知っている」蓋然性は極めて高い。

でね、次に示すのが、実際に行われた「官邸前安保法制賛成の街頭活動の様子」(引用元:https://www.youtube.com/watch?v=RGsYkneQTgk

この写真と、さっきあげたNHK街宣の様子を見比べてみてほしい。乱立する日章旗、蛍光緑のノボリ。。。 だれがどうみたって、「ああ同じ奴がやってるな」って話でしょ。

つまり、現場でこれ取材した奴は、「これ、頑張れ日本だな」ってことに気づいてた可能性は極めて高い。よしんば「頑張れ日本」って団体名を知らなかったとしても「あ。この連中、渋谷の弊社で抗議街宣しとる奴らだ」と気づいていた可能性は極めて高い。

で、もし、現場で取材した人が気付かなかったとしても、局に帰って上司なり上長なりにみせたら、現場を飛び回る取材班よりも渋谷の社内にいる時間が長いはずの上司氏・上長氏は、「あ、こいつら、あいつらやんけ」と気づく可能性は極めて高い。

つまり、「NHKは、自分たちを糾弾している連中の活動をあえて報道した」ということになるわけだ。

もちろんながら、これはあくまでも推論にすぎない。「取材した人から編成権持ってる人まで、この報道に関わったすべての人が『頑張れ日本』であることに気づかなかった」という可能性は論理的には存在しうる。でもさ、それって「NHKは自社に関する事がらさえも調査が行き届かないほど調査能力が低い」ということでしかない。

どっちにころんだって、だいぶ変だ。

一番自然に成立するのは、「NHKは、あの官邸前の安保法制賛成の街頭活動は、ほかならぬNHK自身を毎週糾弾している『頑張れ日本』によるものだと知っていながら、あえて報道した」という推論だろう。

この「あえて」が僕は恐ろしいのだ。

「安保法制反対の声ばかり取り上げるのは不公平だから両論併記を期すため あえて 報道した」

であるにせよ

「もう、この路線を支持するしかないから『頑張れ日本』によるものであっても、あえて 報道した」

であるにせよ、「あえて報道する」という判断に至った思考回路が恐ろしい。

無論、僕の話は、推論に推論を重ねあげたものでしかない。しかしもしこれらの推論がすべて正しいとするならば、どっちに転んでもNHKは「本意とはちがうが、何らかの理由に突き動かされて、報道した」こととなる

この「本意とは違うが」「あえて」「しかたないから」「そうする」 というのが怖い。これこそが、アイヒマン的なものの正体だろう。これこそが、全体主義そのものだろう。

もうNHKは、ほんまにダメかも知れんね。

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