育鵬社の教科書は「つくる会系教科書」じゃねーよ。強いて言うなら「日本会議系教科書」だよ。

今年は教科書採択の年なので、歴史教科書採択の話がちょいちょいニュースになる。

例えばこんなのとか 

「つくる会」系教科書採択 都教委、中高一貫など32校 (朝日新聞 7/22)

都立中など31校 歴史・公民に育鵬社教科書を採択(東京新聞 7/23 夕刊)

ここいらでニュースになってるのは育鵬社の教科書のこと。この教科書のことをマスコミ各社は「つくる会系教科書」と呼んでいる。

これ、ミースリード。 まあ一般の人は「ウヨった教科書は『つくる会』の教科書だ」ぐらいの認識だろうから、このレベルに話を合わせてるのかもしれない。でもね、これ、「安倍政権下の教科書採択」って観点からみると、とんでもない問題をはらんだミスリードだ。

そもそも、「新しい教科書をつくる会」は育鵬社の教科書の書き手ではない。むしろ、育鵬社は「新しい教科書をつくる会」と極めて醜悪な内部抗争につぐ内部抗争をへて独立した人々によってつくられた会社だ。

「新しい教科書をつくる会」そのものは、育鵬社ではなく自由社という会社から教科書を出している。

で、いま次々と採択されているのは「育鵬社」の教科書であって「自由社」の教科書ではない。「つくる会」が作った自由社の教科書は「採択ゼロ」といっていい状況にある。だから、育鵬社の教科書を「つくる会系教科書」と呼ぶのは、ファクトとして少し無理がある。

で、育鵬社の教科書を「つくる会系」と呼ぶのはファクトとして間違っているから問題というだけではない。育鵬社の教科書を「つくる会系」だと認識してしまうと、あの教科書の書き手たちの素性を見落としてしまう。

ぐだぐだ書くのが面倒くさいから、育鵬社の教科書の書き手たち=日本教育再生機構の役員の一覧を下図に示す(なお下図は以前Twitterで公開したことがある)

はい。これでよくわかるわね。つまり、日本教育再生機構は、日本会議のフロント団体。さらに問題はこの箇所

日本会議の事務局をになう右翼団体「日本青年協議会」のメンバーが理事に収まっている。で、そのうちの一人宮崎正治は、日本青年協議会の設立メンバーの一人。

なお、日本青年協議会のメンバーたちは「つくる会」ができる10年以上まえから「左翼教育打破のための教科書づくり」を運動目標に掲げ続けてきている(経緯はこのあたりに詳しい:教科書問題)。

つまり、育鵬社の教科書を「つくる会系」と呼び「日本教育再生機構」への注目をそらすことは「彼らが日本会議のフロントである」という側面を見落としてしまう結果を生む。

そして、「日本教育再生機構」の日本会議っぷりを理解しないと、「公民の教科書に安倍総理の写真が異常に使われている」という問題がいかに悪質かということも、見落としてしまう。

だからもう、「つくる会」というのはやめよう。ちゃんと「日本会議系」と言おう。

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