さていよいよ参院選です。
泣こうが喚こうが、争点は「改憲」です。
「改憲を隠している」とメディアはよく言いますが、そうした大方の予想に反し、安倍総理は、参院選に向けての党首討論で、「自民党なんだから、改憲するのは当たり前でしょう」という趣旨の発言を繰り返しています。
例えば、ニコニコの党首討論で、民進党の岡田代表から「自民党は改憲を争点から隠している」と指摘された際、安倍さんは、「改憲は自民党の党是」「自民党は憲法草案を示している」と言い切っています。
つまり安倍さんは、「参院でも2/3取れたら改憲する」「改憲の方向性は自民党が掲げている憲法草案」と言い切ってるわけです。
そういう認識に立ち、投票日直前の7月9日朝に、僕は以下のようなツイートをしました
大半の有権者が、「自民党の憲法草案で基本的人権が否定されてるって?ああ。否定される人権って、『サヨクが主張するジンケン』でしょ?(冷笑)だったらいいんじゃね?ザマーミロ」ってノリだから、自民党の憲法草案が人権を否定してても大歓迎なんでしょう。制限されるのは自分の権利だと思ってない
— 菅野完 (@noiehoie) July 9, 2016
これに対し最も多かったレスは、
「自民党を支持する人でも、自民党憲法草案はトンデモだと思っている。しかし、とりわけ経済政策で野党が頼りないから、自民党に投票する」
というものです。
これね、僕、本当に意味わかんない。
そりゃね、経済は大切です。何よりも大切です。しかし冷静に考えてみると、やっぱり「自民党憲法草案はトンデモだと思っている。しかし、とりわけ経済政策で野党が頼りないから、自民党に投票する」ってのは、理屈としておかしいですよ。
自由民主党が、結党以来、50年以上にわたって、「改憲」を争点にしてきたのは周知の事実です。自由民主党にとって「改憲」は宿願である……と言えるでしょう。で、その自民党が「自民党支持者でもトンデモと判断する」ってな代物の憲法草案を掲げているわけです。
そういう状態で、「野党の経済政策が頼りないから自民党に投票する」とか「野党がアホだから自民党しかない」という判断は、「しかしそれでも、自民党の改憲草案はトンデモであり、お話にならない」という判断と同居するとき、滑稽なほどに気違い沙汰になります。
いいですか?
1)自民党にとって改憲は50年来の宿願
2)しかし自民党の憲法草案は、気違い沙汰のトンデモ憲法
3)しかし野党が頼りないから自民党に入れる
ってわけですよ?
こうやって整理して論理的に考えると、「野党が頼りないから自民党に投票する」という行為は、「自民党憲法草案に沿った憲法改正」に、消極的であれ、支持を表明している」ということに他なりません。
であるならば、「憲法草案は確かにトンデモだけど、自民党に投票せざるを得ない」という態度は、もはや論理超えた何か別のもの……そう「宗教」とでも言うべきものです。
加えてこの宗教、いささか滑稽に過ぎます。
もっとシンプルにこの態度を表現すると、「自民党は50年にわたって改憲を党是にしてきた」ことを了解しつつも、「自民党が掲げる憲法草案はトンデモだ」と言いつつ「しゃーなしに自民党に投票する」っていうことですよね。
それって、言わずもがな生魚が出てくる寿司屋に行って、「なんで生魚出すんだよ」と言ってるに等しいわけです。
もし寿司屋に行って、「なんで生魚出すんだよ! 俺は生魚が嫌いなんだよ!」っていう客がいたら、あなた、その人のこと、「ああ。こいつは極め付けのきちがいだな」と思うでしょ?
と思うと、「経済政策で野党がダメだから自民党に投票する」って態度は、とても愚劣なものであり、きちがい沙汰ということがわかります。
このように整理すると、参院選の投票用紙に「経済政策で野党がダメだから自民党に投票する」という考えから、自民党と書いたり自民党の候補者の名前を書いたりする人って、単なるきちがいだということがよくわかるはずです。
投票日、きちがいでなきゃ、野党に投票するはずですよね。
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