なぜメディアは日本会議を報道してこなかったのか

拙著『日本会議の研究』出版後のここ2ヶ月、たくさんのメディアから日本会議について取材を受けた。みなさん、「自分たちも反省すべきなんですが。。。」と前置きをして、「なぜこれまで、メディアは日本会議について取り上げてこなかったんでしょうか?」とおっしゃる。僕は常に同じことを答える。

僕の答えはこうだ。

「彼らが成功体験として誇るのは『元号法制化』です。しかし彼らのその他の運動は、すべて、『反対運動』であることをご存知でしたか?」とまず確認する。だいたいみなさんご存知ない。だから具体例を挙げる。
「日本会議は、とりわけ細川内閣誕生以来、『壮大なる反対運動団体』になってるんです。曰く、『男女共同参画反対』『慰安婦報道反対』『夫婦別姓反対』『性教育反対』と。40年近くある彼らの歴史は、ずっと反対運動の歴史なんです」と、具体例を挙げる。

で、ここで僕は、「こうして、列挙してみましたが、何かお気づきになったことありませんか?」と尋ねてみる。するとみなさん、ポカーンとされる。だからそこに補助線を引く。

「彼らが反対運動を起こすのは、男女共同参画にしても、慰安婦報道にしても、夫婦別姓にしても、性教育にしても、全部、『女子供』の話なんです」と。ここまで話しても、だいたいの人は気づかない。

だからもう一度念を押す。「男女共同参画にしても、慰安婦報道にしても、夫婦別姓にしても、性教育にしても、全部、『女子供』の話です。これ、皆さん方、メディアの人々も、そしてその需要サイドである我々社会も、最もバカにする分野の話ですよね?」と念を押す。ここまでくると反応が分かれる

「つまり皆さんと皆さんの報道の消費者である僕たち市民社会が、『女子供の話だからどうでもいい』と等閑視していた事柄ばかり、彼らがやってきたから、彼らの運動が報道されないんです。つまり日本会議と我々は両方とも加害者」という話をする。

さらに続ける。「慰安婦報道でさえそうですよね?慰安婦報道は、どちらのサイドからのものであれ、『論争報道』になっている。『日本の言い分が正しい。いや韓国が正しい』と。しかしこれ、完全に『女性の人権』って観点抜けてますよね?そういう報道ないですよね?」と。

さらに続ける「ここ10年ほど、日本会議が主要な行動フィールドとしているのは、学校現場です。性教育反対しかり、親学しかり、江戸しぐさしかり、そして日の丸君が代しかり。しかし『子供の話』として、これをどこか軽く扱ってるところありませんか?」と。
ここまで話すると、女性記者と30代以下の記者と外国メディアの記者は本当に見事なまでに、「あああ!!目からうろこが落ちた!」という顔をされる。しかし、おっさん記者は全然気づかない。だから更に重ねる。

「僕は、日本会議っていいネーミングだと思うんですよ。だってそうでしょ?彼らが言ってることは、天皇崇敬も何もかもお題目だけ。実際にやってることは、さっき振り返ったように、女子供の話ばかり。つまりは『女子供は黙ってろ』と言いたいわけ。これ、『ニッポンのオッサン』ですよね?」と。

「日本会議は小さい。しかし、彼らがレペゼンしてるのは『ニッポンのオッサンのメンタリティ』。国粋主義でも宗教でもない。あなたにもそしてこんな偉そうなことを言ってる僕の中にもあるかもしれないドロドロとしたミソジニーをレペゼンしてるんだから、強いんです」

さらに続ける。「と、考えると、彼らが今改憲議論で、『緊急事態条項』と『家族条項』にこだわる理由もわかるでしょ?緊急時には女子供はすっこんどれと。家族の言うことを聞けと。」と。
 
ここまでくるとほぼ90%の人が理解してくれる。だが、最後まで理解できないのは、左派のおっさん記者

あ。最後まで理解しないのは、左派系メディアのおっさん記者だけでなく、週刊誌メディアの人の中にもたまにいる。前者の場合は、「いや、そんなことはない、自民党は国家神道の復活を目指しており。。。」とか明後日なことを言う。後者は、最後まで「それの何が悪いの?」って顔をしている。

週刊誌メディアの人が最後まで理解できないのは、職業柄だから仕方ないと思う。だってそういうメディアなんだから。「日本会議って『ニッポンのオッサン会議』なんすよ?」って話しても「いやー困ったな。うちはそのオッサンが客なので」って話なんでね。だから不思議なのは、左派系メディアの頑迷さ

いくら口すっぱく「右派運動って考えるのやめたらだろうでしょうね?あれは、壮大なるミソジニー運動だしマチズモ運動ですよ?」と伝えても、左の人は理解してくれない。そして最後には「だとして、だから何が問題なのか?」という。「そんなことよりも、9条ガー 国家神道がー」となる

だからこっちとしても「そりゃ、9条も大切なんでしょう。国家神道も強いんでしょう。しかし今厳然として眼前で『女子供』が抑圧されている。それに抗えず、国家神道に抗えるんですか?」と尋ねる。ここまでくると向こうも意地だ。先日など「君は失敬だ!細かいことにこだわりすぎる」と言われたw

つまり、今話したようことを、資料も見せ、エビデンスを見せ、連中が書いた雑誌記事などを並べてみても、40代以上の左派系メディアの人々は、「そんなことはない!!!!戦争やりたがってるんだよ!!!!」と意固地になって聞く耳を持たない。そりゃメディアが日本会議のことを書けないはずだわね。

だからねみなさん。「国家神道」とか「戦前回帰」とかさ、そういう陰謀論みたいな話置いといてさ、「改憲勢力の首魁である日本会議はこれまでずっと『女子供は黙ってろ』運動をしてきた」って事実を見つめましょうよ。だからこその緊急事態条項であり、だからこその家族条項なんだからさ。

まあこんな偉そうなことを言ってるけども、2年前の僕ならこの理屈に気づけなかった。自分がいかにクソか、自分がいかに人を傷つけるかを直視せざるをえなくなり、自分を変えようと、持ち金全部はたいて、カウンセリングに通い、病院に通い、専門家に助けを求めたから、自分のミソジニーを理解できた

僕がミソジニーを克服できたのか、くだらないマチズモを陶冶できたのか、僕自身ではわからない。そういうものは常に他人が評価すべきものだ。だが「ニッポンのオッサン」とは少しは距離が置けたのではないかとは思う。もしあのまま行ってたら僕は、今頃日本会議のイベントで君が代歌ってるだろう。

僕の講演を聞きにくれた人ならご存知だと思いますが、僕の講演の最後2分間は、「女子供の話だとバカにした結果、女子供の話を真剣に弄る人らが改憲勢力の首魁になった。だから24条なんですよ!女子供の話だとこれ以上バカにするのをやめましょう」と絶叫して終わる。あれ、僕は自分に言ってるんです

まあこうやってね、僕は自分のことを戒めるためにも、自分で自分に懲罰を与えるためにも、「メディアがミソジニーを克服できないから日本会議をメデイアは書かないんです」って話をしま食ってます。これ、日本のオッサンの神経、逆撫でしまくりなのよね。そのうち、壮大な「仕返し」が来るでしょうなぁ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. […] なぜメディアは日本会議を報道してこなかったのか […]

  2. […] 拙著『日本会議の研究』出版後のここ2ヶ月、たくさんのメディアから日本会議について取材を受けた。みなさん、「自分たちも反省すべきなんですが。。。」と前置きをして、「なぜこれまで、メディアは日本会議について取り上げてこなかったんでしょうか?」と  […]

  3. […] なぜメディアは日本会議を報道してこなかったのか […]

  4. cal より:

    して食ってますの誤りかとおもえば、しまくってます。ですね。
    オッサンの神経、逆撫で島倉千代子です。
    興味深い、よい記事でした。

  5. 神永 れい子 より:

    菅野 完 さま

    はじめまして神永れい子と申します。
    男女平等社会をめざす女性たちの中では当り前のことが、
    重要なことがなぜあまり報道されてこなかったか・・・・
    よくぞ書いてくださいました。

    ただ、同時に
    女性たちは、それが日本を戦争できる国にするために邪魔、障壁になることを
    「彼らが十分に知っているからだ」
    と認識しています。

    戦争をするには、人権感覚は不要
    というより寧ろ邪魔になるから、
    ジェンダー平等も、「いのち」の尊さを伝える性教育も
    バッシングされたのだ、と思います。

    今、各地で「ママの会」など、
    これまで政治に関わってこなかった人、
    ジェンダー平等など意識していなかった人、
    らが動きだしています。

    平和な日本を続けたいからです。

    クオータ制の実現をめざす会  http://www1.odn.ne.jp/quota/
    女性首長を実現する会 あいち http://ameblo.jp/quota-aichi/ 
    いのち*女性ネット      http://inochijosei.wix.com/inochijosei
    神永 れい子

  6. 庶民 より:

    ミソジニーとかマチズモとかレベゼンとかわけのわからない用語を使わないでください。庶民にはわかりません。

    • tamotsu より:

      知るかボケ。

      • Pied_Piper より:

        そんなこと言わないで、せめてヒントだけでも出してあげてください。
        もちろん、「ググってみて下さい」だっていいわけです。
        細部に引っかかって、放り出されてしまわれるのはあまりにも・・・です。
        内容の一部でもいいから興味を惹かれた方に、さらに関心を持ってもらう必要がある時だと思います、今は。
        もう、時間もありません(恐らく)。

        ミソジニー=女性蔑視が日本会議の根幹をなしているという指摘は的を得たものと思います。

      • いえーい より:

        性格悪いなぁ(笑)大人なんだから汚い言葉使わないで表現することに慣れろよ。がんば!

  7. 水口 敏雄 より:

    私は政治感覚としては中道だと自任している81歳の爺さんです。あなたが日本会議の研究を上梓したことにより脅迫を受けたという記事をネットで見つけ早速購入しました。日頃から安倍総理や取り巻きの閣僚、議員たちの右翼的言動に危惧を抱いていたしその多数が日本会議のメンバーであることも承知していましたのであなたの本をむさぼるように読みました。短期間にもかかわらずよくここまでたった一人で調査、研究したものだ大いに感銘を受けましたしまた大いに参考になりなした。私は以前より安倍総理は頭が悪いのではないかと思っておりましたのでこれからもあなたの言う一群の人々からの影響が気掛かりです。本題からはズレますがあなたの本の中で一番気に入ったところは百田尚樹のことを「この人物について言及することは筆が汚れるので。。。。」と書かれたところです!
    あなたは私の息子より若いのでこれからもますますのご活躍が期待できます。日本の民主主義を守るためにも頑張ってください。日本の民主主義は日本人自身でかちとったもではないのですから。

  8. […] 大事なこととは何か。菅野さんは日本会議の運動は「子供と女性」の問題が中心にあるとみる。つまり、家族の問題が中心にある。夫婦別姓反対であり、彼らの指摘するところの「急進的なフェミニスト」への反対も、そこが源泉だという。 […]